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PLAY WITH IBARAKIコラム

【茨城王のいばらき放言】#05 常陸大宮市~おれたちはヘタレじゃねえ! 2014.08.29

前回、鉾田市編「やさぐれメロン☆ロード」を書いたときは「これから夏!」な感じだったのですが、今この原稿を書いているのは「夏も終わり」な時期でして、えっ、そんなに時間たったの?ってか、もう夏終わりなの?アバンチュールは?それより宿題どうすっぺ?
……とあわてふためいている40代の茨城王なのであります(苦笑)。

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そうそう、鉾田市編では一瞬アニメに追いつきそうになったんですよ!しかし、タッチの差でアニメの常陸大宮市編がUPされて、そして、さらに現在(8/26)はかすみがうら市編までものが公開されておりまして、ふたたび2週遅れに逆戻りでございます(汗)。

人間は成長する生き物であると信じてやまない私ですが、いつまでたっても変わらない生き物であるという側面があるのも、実感として否定しようがありませんね。まあ、私のことはどうでもいいんですが、アニメに追いつくためにはひたすら書くべし!書くべし!です。
さあ、ここから怒涛の追い上げを見せられるのか!?イラストのツッコミにも負けずにガンバレ!ぼくらの茨城王!……と、自らを鼓舞したところで(笑)、常陸大宮市のコラムいってみっぺ~

さて、常陸大宮市ですが、茨城県北には「“ヒタチ”が多すぎる問題」というのがあるんですよ。日立市を筆頭に、常陸太田市、ひたちなか市、そして、今回の常陸大宮市。ひたちなか市と那珂市による「ナカナカ問題」というのもあるのですが、今回は割愛します。

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……で、常陸大宮市は一番後にできた「ヒタチ系」の市名なんですね。つまり、市名を付ける時には、すでに日立市、常陸太田市、ひたちなか市が存在しており、しかも、「日立」「常陸」「ひたち」と、すべて「ヒタチ」の表記が違っていたため、一応、棲み分けらしきものはできていたともいえます。
それが、常陸大宮市が「常陸」を使ってしまったために、県北にあまり縁がなかった人にとっては、何がどこにあって、どの表記なのか、全くわからなくなってしまいました。
常陸大宮市の誕生によって「“ヒタチ”が多すぎる問題」が完全に表面化したといえるでしょう。
いや、そもそも全部「常陸」なら紛らわしくなかったのに、いちいち表記が違うから紛らわしくなったんだっぺよという見方もできるので、あくまで常陸大宮市の誕生は発端の一つぐらいに考えておいた方がいいのかもしれませんが。

だったら常陸なんかつけないで大宮でいがっぺよ!という意見もあったと思うんですよ。埼玉の大宮市は「さいたま市」になっちゃっていて、大宮市は存在しなかったわけですからね。
そうはいっても、大宮市がかなりメジャーな市で、しかも、同じ関東地方となると、やはり紛らわしいといいますか、埼玉からのクレームは必至でしょうから、大きな火種を抱えて新市をスタートさせるのは避けたかったという思いがあったんでしょうかね。

それならば、逆に大宮を使わなければ、まぎらわしい常陸を付けずに済んだという考え方もできますね。
でも、大宮の名前の歴史をひも解いてみると、並々ならぬ大宮への思いを感じずにはいられなくなるのです!あなたは知っていましたか?大宮がかつてヘタレだったことを……。

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そもそも常陸大宮の大宮は旧大宮町から取られているのですが、「大きな宮」ですから、ある神社からきているのですね。
先に埼玉の大宮を紹介しますと、この大宮は「氷川神社」のことなんです。氷川神社は、武蔵国(現在の東京と埼玉)の一宮(いちのみや)で、一宮はその国で最も格の高い神社のことなのですが、大宮は氷川神社の門前町として栄ええてきたという歴史があるんです。
いっぽう、茨城の大宮は旧大宮町にある「甲(かぶと)神社」からきています。甲神社が「甲大宮」とよばれていることから、大宮と呼ばれるようになったのです。

……とここまでは普通の話なのですが、この地区が大宮と呼ばれるようになったのは、実は1843年のことなんですね。江戸時代の後期です。
それまで大宮は「部垂」という地名だったのです。文字を見ただけでは特に違和感がないと思いますが、問題は発音です。部垂と書いて「ヘタレ」と読むんです。

「どこから来たの?」
「ヘタレです」

「どこの出身だったっけ?」
「ヘタレだっぺよ」

やはりちょっと力が抜けるというか(笑)、現代人の我々からみてもツッコまれる要素がアリアリですよね。これは当時の村人たちも同じだったようで、「俺たちは部垂だけど、けっしてヘタレじゃねえ」と、どうにかこの村の名前を変えるべくお上に願い出たことによって、大宮への改名にいたったわけなのです。
それから時は経ち、大宮町が生まれ、現在は常陸大宮市の中心となっている大宮ですが、これがヘタレだったら、現在の大宮の繁栄はなかったかもしれません。またはあったとしても部垂(ヘタレ)市になっていたかもしれないのです(汗)。

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そういうわけで常陸大宮市の歴史のなかで、今の我々にとってもっとも影響が大きい出来事だったといえるであろう部垂(ヘタレ)から大宮への改名。この歴史を知ってしまってからというもの、私は大宮という名前にアツい思いを感じずにはいられなくなりました。そして、常陸大宮と付けることもやむなし!と、すっかり常陸大宮擁護派にまわってしまったのでした。

そういうわけでオススメスポットなど全く紹介できませんでしたが(苦笑)、常陸大宮はいいところなので、みんなも行ってみてね!(ハート)

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イラスト:芦名みのる

茨城王(イバラキング)
Webサイト『茨城王(イバラキング)』を運営しています。ラヂオつくばにて『イバラキングのごじゃっぺラジオZ』放送中。常総ふるさと大使。主な著書は『いばらぎじゃなくていばらき』。
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